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フィリピンといえば、どういったことを思い浮かべ、どういったイメージを持っていますか。セブ島やボラカイ島のようなリゾート、それとも現地の活気あるマーケット、笑顔が良く似合う子どもたち、はたまた一歩路地を入るといまだ多くのストリートチルドレンたちが住むスラム街でしょうか。

フィリピンは多くの日本企業も進出しており、経済発展が著しい国であり、特に2012年以降の経済成長率でみると、ASEAN(東南アジア諸国連合)のなかでもトップクラスです。

経済発展でみると、特に個人消費による景気拡大の兆しが大きく、それを支えているのが、フィリピン国外で働く、いわゆる出稼ぎ労働者によるフィリピン国内への送金なのです。

では、なぜASEANのなかでも特に経済成長が著しいフィリピンでありながら、人々はフィリピン国外へ出て出稼ぎ労働をしなければならないのでしょうか。

フィリピン国内で働くフィリピン人の平均年収を知ることで、フィリピンがなぜ出稼ぎ労働にこれほどまでに頼らなければならないのかが見えてくるはずです。同時に、経済急成長を遂げているはずのフィリピンが抱える問題をご説明します。

グラフで見る、フィリピンと日本の平均月収の差

グラフで見る、フィリピンと日本の平均月収の差
フィリピンの平均収入を単なる数値としてではなく、より理解しやすいよう、私たち日本人の収入と比較してみました。世界各国の平均収入をデータとして提供しているサイトをもとに、フィリピンと日本の月収をグラフでわかりやすく比較しています。

さらに、数ある職種のなかでもフィリピン・日本両国ともに記載があった7つの職種に絞って比較しています。また、フィリピンの高月収順に職種を並べています。

参照したデータが月収表記であったため、グラフの数値は平均月収となりますが、単純計算で12ヶ月分を掛けてみると年収差はさらに広がることが安易にわかります。
月給グラフ

philippinesjapan

いかがでしょうか。
7業種のなかで、フィリピンの月収が最も高かったエンジニアをみても、彼らの月収は日本のエンジニアの月収の約20%にしか満たないのです。

私たち日本人であってもエンジニアの職に就くことは難しく、この20%に満たないエンジニアの職に就ける人がフィリピンで何%いるのだろうか、と考えるとその他の業種における月収差はさらに広がることが目に見えます。

フィリピンが抱える深い闇。その問題点と解決策とは?

フィリピンが抱える深い闇。その問題点と解決策とは?
特にフィリピンは所得格差が大きく、所得格差の問題は解決の糸口も見つからないほど大きな問題となっています。

近年、特に観光業や英語を公用語とすることから日本でも観光や英会話、語学留学等で耳にすることも増えているフィリピンですが、雇用状況はいまだ不十分で、失業率も依然として高いままになっています。これは、アジアの近隣諸国であるマレーシアやベトナム等に比べても、製造業における海外からの直接投資流入が少ないことが原因です。

日本企業を含め、海外の投資家たちにとっては、フィリピンの政治がいまだ不安定であることと、治安の面で直接投資を懸念する動きがみられます。そのため、雇用が不十分で失業率が高く、実に1,000万人ものフィリピン人が母国を離れ、出稼ぎ労働者として働かなければならないのです。

上記のグラフでみると、たとえ自国で就職できたとしても、これほどまでに年収差があるとなると、海外で働かなければならないことがよくわかります。

こういった問題を解決するために最も重要となるカギは、フィリピンの政治です。特に2016年5月9日には、次期大統領選挙を控えているフィリピン。ここで、どのような政権が誕生するのか、ASEANのなかでも経済急成長を遂げているフィリピンの政治に日本を含め、世界各国が注目しています。

フィリピンの平均年収という数字から見えること

フィリピンの平均年収という数字から見えること
フィリピンの平均年収から急成長であるはずのフィリピン経済が抱えている問題、所得格差と高い失業率といったフィリピンが抱える問題の解決策を握るカギまでを簡単にご紹介しました。

フィリピンのみならず、日本へも出稼ぎ労働者として自国を離れ、家族ともなかなか会えない環境で働いている人たちがいます。こうして平均年収を単なる数値としてみるだけでなく、数値の裏側にある、その国の経済状況をみることでよりその国を深く理解することができるのです。

最初に思い浮かべたフィリピンのイメージから、もっとずっと深いフィリピンに興味を持っていただけたでしょうか。

特に、今年の次期大統領選挙がフィリピンの未来を変えるかもしれません。これを機に、テレビや新聞等で今後のフィリピンの政治、そして経済状況等に注目してみてはいかがでしょうか。

日本からも近く、美しい海とリゾート、それでいて物価の安い国として日本旅行者にも人気のあるフィリピンですが、彼らの明るい未来は想像以上に日本企業がカギを握っているのです。

現在はイギリス在住。子育てしつつライター業(経験年数7年)をしています。海外旅行が好きで現在は50か国ほどを渡航済み。フィリピンセブ島はハネムーンで訪れた思い出の地です。

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