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「Sagada 12km」 という看板を目にしたとき、わたしはほっと胸をなでおろした。
もうすぐ目的地に到着する。・・長かった。

いったい何故わたしはSagada(以下サガダ)に向かっているのか。それは、わたしが「経費で旅行ができる」という甘い誘惑にまんまとのせられてしまったからである。

ことのはじまりは以下のようなものだ。
わたしの所属する英語学校PINESは「留学と旅行」をパッケージにしたプランを準備しており、旅行候補地のひとつサガダの下見をすることになった。発起人は当校マネージャーであり、わたしのボスである西澤と毎度おなじみフィルポータルの岩辺くんである。

PINESチャピス校で「英語のある人生」を!【マネージャーインタビュー】

 

西澤「神谷さんもカメラマンとして同行しませんか?旅費は経費から出しますよ^^」

 

わたしは詳細を聞くこともなく二つ返事でOKした。

 

神谷(タダで旅行?ゴチっす、てなもんである。)

ハメられた、と気付いたのは出発直前だった。この下見旅行は土日、つまりわたしにとって休日に決行されるものだったのだ。よくよく考えてみれば西澤も学校のマネージャー。授業のある平日に2日も不在にするわけにはいかないのである。

わたしは現代っ子なので休日出勤なんてしたくない。だからといって「あのー、この旅行ってオーバータイムワークに含まれるんですか?」などと、自分から聞くことなどできない。悲しいことだが、わたしはしみったれの日本人気質なのである。西澤と岩辺くんがほくそ笑んでいるのが想像できる。

はあ、ただでさえ安い給料で働いているのにそのうえサービス労働まで・・。わたしの年収低すぎッ!?の人が同情するくらいの労働環境である。

Sagadaの場所・行き方

話を戻そう。

 

Sagadaの場所・行き方
バギオからサガダはバスで6時間ほどかかる。今回は混雑のない早朝に出発したこと、バスではなく車をチャーターしたこと、なによりもドライバーが事故りそうなくらい飛ばしてくれたことによって4時間強で到着した。ドライバーの名前はフレディ。運転は荒いが、仕事のできる寡黙な男だ。

道中、絶景といえるような棚田が広がるポイントが随所にある。
が、フレディのクレイジードライブに完全にやられゲロを吐くのを我慢するので精一杯のわたしは一眼レフをかまえる力はなく、サブカメラのコンデジで数枚撮影するだけに終わってしまった。いまいましいことに西澤は気持ちよさそうにぐっすりと眠っていた。

サガダ到着。

西澤「いや〜早かったですね、5分くらいで着いた感覚ですよ^^」

わたしは眠れずに地獄の4時間を味わっていたので、疲れて聞こえないふりをし、無視した。

サガダについての概要

サガダについての概要
サガダはルソン島北部に位置するコーディリエラ地方の田舎町。雄大な山々に囲まれ、世界遺産にも登録されている棚田で有名なバナウェにほど近い。観光地化が進む商業的な色気のあるバナウェと比べると、地元民もすれておらず、フィリピンのローカルな雰囲気を味わうことができるだろう。

【フィリピンバギオにある世界遺産】バナウェの魅力に迫る

サガダ・ケイブ

サガダ・ケイブ
サガダといえば洞窟。というくらい、サガダケイブはこの辺りでは有名だ。地元ガイドを雇う必要があり、料金は4人で500ペソ(1,130円)。他にツーリスト登録料として一人35ペソ(80円)が必要になる。

わたしと岩辺くんは階段を降り、大きく口をあけた洞窟に向かっていった。そのとき西澤が後ろから耳を疑うような言葉を発する。

西澤「二日酔いのうえに昼食のとき飲んだビールでお腹壊しちゃいました。迎え酒ってよくないですね笑。」

西澤はそういってホテルに戻っていった。この男にとって下見とは一体・・、いや何も言うまい。

 

サガダ・ケイブ
洞窟内部はかなり広かった。思っていたよりも足場はよく、注意していれば転ぶこともないだろう。

経済的な理由なのか、景観維持のためなのかはわからないが、洞窟内に照明は設置されていない。ガイドが携帯する石油ランプの光だけで中に進んでいく。写真のように幻想的な雰囲気だが、悲しいことに隣りにいるのはわたしと同じく寝不足の岩辺くんだ。異常なまでにコウモリの糞を警戒し、相変わらずのヘタレぶりだ。ああ、これが女の子だったら・・。

 

サガダ・ケイブ
さらに奥に進む、核心部に近づくにつれ足場が悪くなり、途中からサンダルを脱ぐ。

 

サガダ・ケイブ
水の中にも入っていき、ときにロープを使って下っていく。

 

サガダ・ケイブ
最深部では海洋生物の化石をみることができる。つまりこのあたりは大昔は海だった、ということをガイドが説明してくれた。すごく若いガイドで、基本的には無言で進んでいく。たまに思い出したように口を開くとなにやら説明をしてくれるが、眠くて集中できず30%くらいしか理解できなかった。

 

サガダ・ケイブ
往復約2時間半で洞窟ツアーは終わった。ガイドの値段からするとかなりコスパの高いアクティビティだ。人が多くて渋滞するポイントもあったので、混雑しない時間に訪れたほうがいいかもしれない。

崖に吊るされた棺桶

崖に吊るされた棺桶
洞窟と並んでサガダで有名なものが、ハンギング・コフィン(吊られた棺桶)である。
サガダを囲むエコー・バレー(Echo valley)では600年以上前から棺桶を崖に吊るす風習がある。フィリピンがキリスト教化される以前からあるものだが、新しいものは棺桶に十字架が描かれているものもあり、土着宗教とキリスト教が混ざりあっているようだ。ちなみに中国南部の少数民族やインドネシアでも同様のものが見られるので、東南アジアに広く伝わる習慣らしい。

 

崖に吊るされた棺桶
途中、墓標にYamashitaと記されたお墓をみつけた。あの有名なヤマシタ財宝に関係があるのだろうか?目が$になりかけたが、このあたりでは山下徳太郎という日本人技師が教会建築に尽力し有名らしい。おそらく彼に関係する墓だろう。

 

崖に吊るされた棺桶
途中に立ち寄った滝。う~ん、ショボい・・。残念ながら今回の企画「スタディ&トラベルパッケージ」に組み込むことはないだろう。ふり向きざまの西澤の顔にイラっとするのはわたしだけだろうか。

 

崖に吊るされた棺桶
何か楽しいアクティビティはないかと半分やけで試したロッククライミング。
これは当たりだった。文句なしに楽しい!初心者でも最後まで登れる簡単な壁なので、力のない女性でも楽しめるアクティビティである。一回400ペソ(910円)と少々お高いが、ぜひ登ってみてほしい。

 

崖に吊るされた棺桶
運動不足でバギオに赴任してから10キロ太ったという岩辺。ヒィヒィ言いながらもなんとか最後まで登った。

一方、西澤は・・

西澤「ぼくはやらないです。でも生徒さんになめられたくないんで、やったことがあることにしておいて下さい。」

やれやれ、もうツッコむ気にもならない。

まとめ〜サガダ旅行の総評〜

まとめ〜サガダ旅行の総評〜
いろいろと西澤への不満がたまる旅行だったが、これ以上書くととクビにされかねないので、少し彼を持ち上げつつまとめに入ろうと思う。

サガダ旅行、総評すると満足のいくものになった。この旅行における我々の失敗はただひとつ。女の子を連れてこなかったことだ。そこさえ押さえておけば今回の旅行は10倍ハッピーなものになっただろう。が、そうでなくても十二分に楽しめた。特に洞窟探検、クライミングはマストで参加すべきアクティビティだ。

そして、この土地を旅行先に選んだ西澤の審美眼はさすがと言わざるを得ないだろう。たちの悪い呑兵衛だが、だてにPINESのマネージャーをやってはいない。皆から慕われているし、わたしも実のところは彼を尊敬しているのだ。と、ヨイショはこれくらいで十分だろうか。

文量的にこの記事では書ききれていないが、サガダ観光のリーダーシップをとる活動家Gawani女史に会うことができたことも大きい。彼女については岩辺くんが別に記事で紹介してくれるだろう。サガダのレストランやカフェ情報も随時アップしていく予定だ。

最後に

最後にコーディリエラ地方の雄大な景色の写真を見ていただき、この記事の締めとしたい。

 

最後に
山の斜面にへばりつくように民家並び、棚田がそれらを囲んでいる。こんな景色が延々と続くのがバギオーサガダ間の道だ。

 

最後に
夕日。遠くの山に雲海が広がる。

 

最後に
夕日に見とれる西澤。この男にも自然の美しさに感動する人間性が残っているのだろうか?

カンディアンロッキー(バンフ)でガイドとして働きながら、たまにフィルポータルに関わる人。PINESでスカラースチューデントをしていました。バンフの情報サイトBanff Portalを運営しています。

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