平和で名高いバギオの郊外、日本人がかつて建設に携わったことで有名なケノンロード沿いから少し入ったところにフィリピン・ミリタリー・アカデミーはあります。
広大な敷地と洗練された施設内には戦車や戦闘機が展示されていたり、士官学生が整列して行進する姿がみられます。中には博物館もあったり。
あまり知られていないフィリピンの軍事学校をバギオで覗いてきました。ご覧ください。
フィリピン・ミリタリー・アカデミー(通称:PMA)とは?
歴史
フィリピン・ミリタリー・アカデミー(Philippine Military Academy 通称:PMA)、すなわち「フィリピン軍士官学校」としての歴史は1936年から始まりました。実はそれ以前、アメリカ占領下の20世紀初頭から「フィリピン警察学校」として前身の姿がありました。
当初学校はマニラにありましたが、わずか3年後には開発の進んだバギオへと移されたそうです。
概要
PMAには軍事関連の教育・訓練を受けるためにフィリピン国内から厳しい入学テストを通過した17歳以上22歳未満の生徒たちがやってきます。入学テストの内容は学力に加え、体力テストや体格の条件などもあります。男女それぞれで基準は異なります。
教育・訓練を経て、軍事キャリアを築いていくための入り口としてPMAは存在します。日本では防衛大学校が一番それに近いかもしれません。PMAの卒業生にはマルコス元大統領、ラモス元大統領らがいて、フィリピン国内においてPMAはエリートコースとしての認知もされていると思われます。
各地からやってきた生徒たちは寮で共同生活を送ります。写真は施設内の博物館にて。
PMAでは、Courage(勇気)、Integrity(誠実)、Loyalty(忠誠)の3つを精神的なポリシーとして提示しています。
PMAの場所・行き方
バギオ市街地からはケノンロードを下りながらPMAを目指すことになります。広大な敷地の横には滑走路がむき出しのバギオ・ローカーン空港があります。飛行機の姿が見えないほどのどかな雰囲気でした。
空港というより飛行場の横を通過するとPMAの大きな門の前に出ます。
入口には大きく「PHILIPPINE MILITARY ACADEMY」の文字。
注意事項
ちなみにタクシードライバー曰く、サンダルでは入場できないとのことでした。ただその後敷地内ではサンダルで歩く現地の観光客も見受けられたのでそこまで厳密ではないのかもしれませんが、念のため靴で行った方が無難です。
PMAの中に入ってみた!
厳重な装備をした迷彩柄の門番に許可を取って中に入ります。写真も問題ないとのことでした。入口を抜けると整然とした道が続いていきます。
こちらが入場チケット。PMAに入ること自体お金はかかりませんが、中の博物館や休憩所を利用するには20ペソ(約45円)必要とのこと。
広すぎるので内部を走るジプニー、またはタクシーをチャーターして移動することをおすすめします。
丘陵地形を利用した敷地内には半袖シャツを半ズボンにしまいこんで坂を上り下りしながら汗を流して走っているのを数人見かけました。
そんな光景を眺めているとジプニーは終着点に到着しました。学生たちの教室、寮に加えて博物館やカフェテリアなど充実していてちらほらと観光客の姿もありました。
施設周りを歩いていると所々に戦時中をイメージしたようなデザインが施されています。
かつて使用された軍のヘリコプターやセスナ機が展示されていました。
そうやって小雨の降る敷地内を歩いていると見事に皆同じレインコートを着た学生たちとすれ違ったりもします。
あちらからもこちらからも生徒が歩いてきます。よく見ると女性も多いことに気づきます。刈り上げたり坊主に近い女性を多く見かけました。
広間に生徒が完全に揃う頃には雨が止んだ代わりに、辺りは雲に覆われてどこか張り詰めた空気が漂ってきました。慌てて走ってくる学生の様子など見るとどことなくまだ幼さが残っているのが見えるよう。
数人の生徒が女性リーダーに叱責を受けている様子を見るとこちらまでどこか緊張してしまいます。
集合したら連絡方式で後ろの生徒からリーダーに、リーダーから統率に、と細かいステップを踏んで伝えられます。リーダーは生徒からの確認を聞句と一人前にいる統率に正対します。
皆揃ったのか順に行進が始まりました。想像していたよりも足並みまで全員揃っているわけではありませんでしたが、制服の後ろ姿からは一人一人の「ここにいるぞ!」といった誇りが感じられました。
まとめ:PMAには未来の大統領がいるかも?
これまでにも大統領を輩出してきたPMAで大切にされている3つのポリシー(勇気・誠実・忠誠)のモニュメント。ここでは未来の大統領になるかもしれない学生たちが苦しみながらも勉強や訓練に励む姿が見られます。
平和なバギオの郊外でそんな異国の「誰か」の人生に想いを巡らせてみませんか?普段接することのない別の生き方に触れることは自分に新しい視点を与えてくれるかもしれません。
フィリピン・ミリタリー・アカデミーの基本情報
英語名 | Philippine Military Academy |
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住所 | Fort Del Pilar, Baguio City, Philippines 2600 |
定休日 | なし。ただし特別行事の際は入れない |
電話番号 | (074) 446 8002 |
入場料 | 博物館・カフェテリア等20ペソ(約45円) |
公式サイト | フィリピン・ミリタリー・アカデミー |