「ねえねえ、なんか最近語学留学してる人多くない?」
「確かに。でも、どうせみんな1ヶ月とかの短期留学でしょ?1ヶ月じゃ何も変わらないって!」
「そうだよね!とりあえず英語英語!ってなんか意識高い系って感じだし、何がしたいのかもわからないのに、留学に行くとか不毛だよね。」
「短期留学で“世界観変わった!”とか言う奴多いけど、そんなワケないっしょw」
大学生のみなさん、なんとなくこんな会話を耳にして不安になることはありませんか?
留学には行きたいけど、ちゃんとリターンを得られるのか心配…。何かしたいけど、そもそも何がしたいのか自分でも明確にはわからない。だからいつも自分の選択に自信を持てない。そう思うと踏み出せない。(「ない」のスパイラル!)
この負の連鎖、実は往々にして共通の原因があります。
今回は大学生をはじめ、若者にやりたいことが見つからない理由、それゆえに行動に踏み出せないというサイクルについて、物語cafeでお馴染みの中川瑛さんを迎え、そのワケと打開するためのフックを伺いました。
中川 瑛さん(25)
中央大学在学中にオックスフォード大学とストラスブール政治学院へ留学。2017年4月に著書『最高のキャリアの描き方』出版。現在はフィルポータルの留学・キャリアアドバイザーとしても活動中。
中川さんのインタビュー記事はこちら
トビタテ留学1期生中川瑛さんの提唱する物語理論とその哲学について
やりたいこと・夢がわからない人は物語を掘り起こしてみる
— 中川さん、今回もよろしくお願いします。中川さんはご自身も1期生として奨学金を獲得したトビタテ留学の広報や、そこから派生した物語cafeなどの活動で大学生との関わりがとても多いかと思います。その中で気になるトピックとして「くすぶっている大学生」があります。エネルギーはあるのに、それを何に注いでいいのかわからずモヤモヤとしている状態です。
なるほどですね。ぼくのところに相談に来る学生も2種類に分かれていて、1つは自分の留学計画がすでに見えていて、それをより整合性のあるものにしようという層。こちらがだいたい3~4割。そしてもう1つは、「自分は何がやりたいんだろう?」ということがわからずに悩んでいる人たちで、こちらの方が多数派の6割というところです。
*トビタテは文部科学省が官民協働で運営しているグローバル人材を育成するための、奨学金制留学制度です。
— やりたいことや夢がわからないという学生は、どうしたらその状況を打破できるのでしょうか?
まず、やりたいことがわからないという学生さんたちと言っても2種類あります。1つ目は、本当はもうあるのに気づいていないというパターン。だいたい20年前後生きてきて、自分の中にグサッと刺さるものや、感情が揺れ動いた経験は誰にでもあるはずです。そういう人たちは単純に、それを思い起こす場がないのかなと思います。
— 本当はあるのに忘れてしまっているということですね。
はい。自分の中で軽く見ちゃってるのかと思います。ぜひ物語cafeに来て、そういう部分を確認してほしいですね。
【11/5 物語cafe東京開催決定】留学と人生〜なぜあなたは踏み出せないのか〜
11月5日に東京で開催する物語cafeの紹介記事です。同時にテーマでもあるフィリピン留学やワーホリが、踏み出せない人たちの人生にどんな影響をもたらすのかを紹介します。留学やワーホリに行きたいけど不安事項がある方は必読です。
自分の指針たる強烈な原体験がないなら作ればいい
— では、もう1つのパターンは強い原体験が思い当たらない方ということになるでしょうか。こちらの層のくすぶり脱出にはどんな方法を提案できますか?
とりわけ思い当たる体験がないという方も中にはいます。そうした方におすすめなのは強烈な体験を作ってしまうということです。自分のやりたいこと、そしてそれが揺るぎないものになるには、思いっきり自分が揺さぶられた原体験を持つことが必要になります。
— 意図的に作ってしまう、と。
はい。簡単に言えば、これまで味わったことのないようなものに出会ったり、見たりすること。未知との遭遇です。そういう意味でぼくはフィリピン留学やそれに付随したNGOインターンやボランティアにはめちゃくちゃ可能性を感じていますよ。
— フィリピンは物理的に近い割に、文化・言語など生活習慣も全然違うので、単なる英語学習以上に発見も多い国ですよね。
興味を探るファーストステップとしてはすごく良い場所だと思います。実際にトビタテ留学で奨学金を獲得できる学生というのは、だいたいそれより前にも海外経験があったりすることが多いんですよ。それはいわゆる“意識高い系”と言われる短期留学やスタディツアーだったりします。
— それは興味深いですね。未知なモノに触れるということはやはり価値観を大きく揺さぶるんですね。
はい。よく「1~2週間という期間では留学とは呼ばない」なんていう人もいますが、価値観や思考は100%変わるとぼくは思っています。これには期間は関係ないんです。期間が長ければ、揺さぶられる回数が増えるというだけのことですね。
— そうしたきっかけ体験によって、自身の未来が輪郭を見せはじめるということですね。
原体験がない人っていうのは、過去をうまく説明できないんです。過去がないと当然未来へのビジョンはふわふわしていて具体性のないものになってしまいがちです。そうすると将来計画は薄っぺらいものになってしまいます。
仮決めでいい。一番簡単にやれることをやれ
— あとなんとなく将来のビジョンはあって、そのために語学学習をはじめ、何をすればいいのかが見えている人たちの中にもモヤモヤして一歩踏み出せない層がいる気がします。
これに関しては明確に提言したいことがあります。“仮決めでいいから動く”ということです。これ超大事です。
— “仮決めでいいから動く”ですか。
はい。こういうときって頭の中にいくつかすべきアクションが浮かんでいて、ほとんどの人は、考えに考えてから最終的に結論を出して動くという流れだと思います。そうなると、当然動き出すまでに時間もかかりますよね。
— 確かに大学生には特に多い気がします。
こういう場合、言いたいのは「その選択肢の中で一番簡単にできることからしてみて!」ということです。選択肢をやりたい度で評価できないときには、やりやすさで次の一歩を決めるんです。例えば、こんな式があるとします。
○ + △ = 8
これって当てはまるのは「○3と△5」かもしれないし、「○4と△4」かもしれない。他にも無数に組み合わせが考えられますよね。こういう場合に次の一歩である○に何を入れようかなと考えるのって無駄なんです。
— まずは頭にある選択肢の中で、少なくともこれは間違いではないだろうというものを1つ当て込んでみる。そうすると、自ずと次にすべきアクションも見えてくるという原理ですね。
その通りです。今持っているデータだけだとわからないことも、1つ仮決めしてみることで次にすることも明確になります。ウンウン考えているだけだと進めないこともあるんですよね。そうやって「好き」や「やりたい」を確認していけばいいんです。
— 大きな答えをはじめからガッチリ固めようと思うと、身動きが取れなくなってしまいますよね。
長い人生の序章、大学生がフィリピン留学することで得られるもの
— 大学生にとってフィリピン留学が果たす役割について、詳しくお聞きしたいです。
ここまでもお話してきた通り、原体験を積むというのが1つと、やっぱりなんと言っても英語力ですね。世界になんらかの関心を持っている人にとって英語は必須of必須なので。それを身につける上で、これだけリーズナブルで物理的にも近いというのは大学生にとっては非常に大きな利点かと思います。
— そうですね。ただ、留学期間が短いと確実な英語習得は保証できませんよね。
もちろんです。ぼくがここで言いたいのは、フィリピン留学はゴールではなくて、あくまできっかけ・ステップとして意味があるということです。
— きっかけ・ステップとしてどんなケースがありますか?
例えばはじめての海外でフィリピン留学をしてみて英語が全然できなかった、と。その悔しい経験を日本に持ち帰って、そこから勉強に火をつけたり、他の国に行ってみたりという展開が考えられます。
— フィリピン留学の位置づけとしては「起爆剤」というところでしょうか。まず何をすればいいのか迷っているという方にはぜひ11/5の物語cafeに来ていただいて、一緒に次の一歩を考えたいですね!
まとめ:原体験があなたの羅針盤になる
短期留学くらいで「世界変わった」とか言う奴笑えるよなと言う人がいるがそれは愚かな勘違いだ。
変わるタイミングに「時間」は関係ない。あるのは衝撃だけだ。衝撃は一瞬でやってくる。
15〜20年間くらい生きてて世界変わらない人たちが衝撃を持てないのはなぜかをむしろ考えたら良い。
— 物語マン (@Story_Theory) 2017年10月16日
やりたいことがわからなかったり、モヤモヤして踏み出せない人には確信、もしくは決定打が必要なのではないでしょうか。「迷う」ことは誰にでもあるものですが、その迷いが現実的な次の一歩につながっていないのであれば、それは少し悲しいですね。
判断材料のない迷いは往々にして行ったり来たりして徒労に終わります。まずはなんとなく、自分の直感が訴えることを試していき、あなたの地図に新しい経験という名の島を書き込んでいきましょう。航路を決めるのはそれから。
一瞬でやってくる衝撃は一生を旅する羅針盤になるでしょう。
私の人生このままでいいの?な若手社会人の方はこちら
あなたが踏み出せない理由【このままでいいの?な社会人編】