常夏の国 フィリピン・セブ島
ここにいつも笑顔を絶やさない男がいる。
佐藤健一 36歳
レンタカー事業をセブ・マクタン島で営んでいる。
その名もマンゾクレンタカー。
男は言う。
「私のセブ島で過ごした7年間、一度もレンタカーで満足したことがなかった」
非常に簡単な理由である。
さすがである。理由の簡単さにも大満足した。
私はこの男だけには頭が上がらない。
やっと出会えた本物の起業家の一人である。
笑顔が絶えない顔の奥には大変な苦労と屈折を繰り返す光のように努力が見え隠れする。
セブ島に訪れる多くの観光客、またセブに住む日本人達がこの男を笑い者にする。 馬鹿にされていると、その男自体も感じているのだろう。笑われていることを…。
でも男は言う。
「生きていかないといけないでしょ」と笑いながら。
動きは滑稽かもしれない。
話し方がおかしいかもしれない。
得していないのに一石二鳥ですねと言ってしまうかもしれない。
仕事中に野菜の値段が気になるかもしれない。
私は伝える。
佐藤健一を笑えばいいと。
それでもこの男は前に進みますから。
男は心で自分を笑いながら前に進む。
もし仮に商売人が2種類あるとしよう。
器用に儲けるタイプと不器用で儲けれないタイプ
この男は間違いなく後者である。
この男は不器用かもしれないが、お金以上の幸せを知っている。