「カンバセーションの授業は質問が難しいから楽しくない…」
これまで多くのフィリピン留学中の生徒さんにインタビューをしてきましたが、時々こんな声を聞くことがあります。ぼくの印象では彼らは不真面目というわけではありません。
留学して、たっぷり時間をかけて勉強もしてるのに、何か聞かれると『英語が』出てこない。フィリピン留学経験あり、フィルポータルで多くの学校関係者・生徒にお話を聞いてきたぼくが実体験も交えて解説します。
こんな人に読んでほしい
- これから英語の勉強を始める人
- 留学を控えている
- 英語を武器に世界で活躍したい人
- 英語学習を続けてきたが、どうも解答力が行き詰まっている
※海外旅行で最低限の日常会話を話すことに目標を設定している人は対象外です。
「留学したら英語ができるようになる」という落とし穴
これは条件付きで「YES」です。日常会話や決まったやりとりであれば、何度も繰り返すことでパターンを暗記することができます。日常会話の習得が目的であれば、それだけでもフィリピン留学の効果があったと言えますが、正直日本の市販教材でも勉強することができます。
留学生活においても、時間が経てば基本的な会話パターンはほとんどの学生が難なく習得できるようになります。それはここまでが「覚える」部分だからです。
逆にカンバセーションやIELTSなどのスピーキング試験では、「考える」作業が発生します。多くの人は質問に対して、頭の中で日本語に変換して答えを探します。そして多くの場合、日本語での答えを用意できないのです。これこそがタイトルでも書いたように英語を話せないたった1つの理由です。
もちろん英語でだって答えられるはずがありません。つまり多くの人が陥っているのは、決して「英語ができない」のではなく、そもそも「日本語でもその質問に対する答えを持っていない」ということなのです。もちろん、留学生の中にはこの部分に気付く人も多くいます。
というのも、日本の教育では穴埋め解答などが主流で、自分で思考を組み立てて答えることは求められないからです。
はじめてのフィリピン留学では、この部分に気付くことができるだけでも留学の意味はあったと言えるかもしれません。ただ、どうせならあらかじめ対策しておいて、充実した留学にしたいですよね。次章では、留学準備に何をすべきかを提示します。
なんでもいい。語れる専門性を持っておこう!
一番大事なことは、「英語は何かを伝えるための言語、すなわち手段であり、習得することはゴールでも目的でもない」ということです。
このことを意外と混同してしまっている人が多いように思います。留学を成功させる方と、帰国して変わらない日々に戻ってしまう方の差は完全にこの部分です。
つまり「目的」が明確な人にとっては、英語習得は「手段」であり、自分の到達したいレベルがはっきりしていて努力目標も立てやすいサイクルに入ります。
逆に英語習得を「目的」にしていると、具体的な指標がなく、頑張ることに妥協してしまいやすくなります。
同時に目的がはっきりしていれば、どんな話を先生としようか、というテーマについても設定して留学に臨むこともできます。ここでは留学前に準備しておきたい2つのことを提示します。
留学前に準備したい2つのこと
留学前に最低限しておきたい2つのことです。
- 単語・文法など日本にいても勉強できることの予習
- 母国語で知見を高めること
1に関しては以下の記事を参考にしてみてください。
【留学前の心得】後悔しないために事前準備が必要なほんとうの理由
2に関しては、元マイクロソフト日本支社社長成毛眞さんの以下書籍が大きなヒントになるかと思います。
辛辣なタイトルですが、日本人の英語に対する向き合い方がわかりやすく解説されているので、手始めに読んでみることをおすすめします。中には世界を舞台に活躍するためにおすすめの日本語書籍をはじめ、英語の学び方も紹介されています。ちなみに成毛さんは内容的にフィリピン留学に賛成のスタンスかと読み取れました。
フィリピン留学で聞かれやすいテーマ3選
マンツーマンクラスの充実したフィリピン留学では、発言シーンは他国と比べても多めです。個人的に専門分野を追求してみることをおすすめしますが、他にもフィリピン留学で聞かれやすい質問を実体験から3つご紹介します。
家族・友人関係
初心者から上級者まで、取り掛かりやすいキャッチーなテーマとして頻繁に登場します。こうした人間関係は簡単そうですが、実は日本とフィリピンの大きな違いを感じられる分野でもあります。先生も特に興味を持っている分野です。
出身地
こちらも自己紹介からそのまま発展しやすいテーマです。位置情報くらいは誰でも解答できますが、意外とその地方の歴史や産業などまで解答できる人は少ないのではないでしょうか。海外に出ると多くの人が「こんなに遠くまで来て、ようやく自分の足元に気づいた」と言います。
灯台下暗しな部分をこの機に、学び直してみることはそのまま永続的に自分の資産にもなります。
キャリア観
国内にいるとあまり気づかないかもしれませんが、実は日本にはいくつか特異な社会的なプロセスがあります。簡単に言えば、新卒一括採用や終身雇用制度などですね。
フィリピンや外国に出てみればわかりますが、キャリアアップのために転職することは当然ですし、インターンなどで経験を積んでからはじめて就きたい仕事にトライするなど、とても興味深いです。
この機会に日本の制度をより自分ゴトに考えてみると良いかもしれません。また、同じく交流する可能性の高い韓国や台湾の生徒とも意見を交換できるでしょう。
もちろん他にも気になるテーマや興味のあるテーマがあれば、留学前に再確認してみましょう。一朝一夕で得られる知識ではありませんが、長い目で見てもそれが自分自身を豊かにしてくれます。
まとめ:Never too late! 〜今からでも遅くない〜
「グローバル化=英語」と考えているようなら、少し立ち止まってみましょう。単純に考えても幼少期から英語を学ぶフィリピンをはじめネイティブ国では、私たちが言語学習をしている時間を使って、専門知識を学んでいます。
そう言ってしまうと少し不利に思えるかもしれませんが、逆に言えば私たちにとって目指すべき状態とは「完璧な英語の空っぽ人間」ではなく、「意志や意見を持ち、それを英語で伝えられる」という状態かとぼくは考えます。
学ぶことに遅すぎるということはありません。このフローを英語学習に組み込むことで、海外を舞台に活躍できる日本人を目指してみてはいかがでしょうか。