突然ですがお聞きします。
「フィリピンといえばあなたは何を思い浮かべますか?」
どちらも間違いなくフィリピンを代表するイメージだと思います。
でもぼくには「これがなければフィリピンじゃない」と思えるものがあります。それは…
フィリピンはどこに行っても音に溢れています。もしかしたら楽しそうなビーチや陽気な人々の思い出はそんな音から連想されているのかもしれません。
中でもフィリピンでは至るところでスピーカーを目にします。目にはしなくてもボリュームマックスの重低音が耳に入ってきますね笑。
そんなフィリピン人の愛してやまないスピーカー。一体どうやって「至るところ」へ普及しているのでしょうか?そんなスピーカーの裏話を店員さんに聞いてきました。
「至るところ」ってどのくらい至るところなの?
「本当のところそんなにスピーカーって流通してるの?」という疑問にお答えするために人々の熱気と色鮮やかな商店が軒を連ねるセブの下町コロン・ストリート(内部リンク)を30分ほど歩いてきました。様子をご覧ください。
音を頼りに歩いているとやっぱりありました。もはや景色に溶け込みすぎて一瞬わかりません笑。
古着屋の軒先には小さなスピーカーがぶら下がっていたりもします。
カラオケも兼ねた大きなスピーカーも珍しくありません。ちなみに1曲5ペソ(約12円)とのこと。
渋い顔をしたおじさまにはやんちゃなデザインもありですね。人間がそれぞれ違うようにどうやらスピーカーにも個性があるようです。
スピーカーの値段
スピーカーを追って下町を歩き続けていると今度は商品としてのスピーカーについて気になってきました。ここまで各家庭や商店に普及しているスピーカーは一体いくらくらいなのでしょう?またどんな種類があるのでしょうか?
ではお店に行ってみましょう。コロンストリートにはスピーカーやオーディオ機器のお店が無数にあります。
巷でよく見かけるオーソドックスな大きなスピーカーは4,600ペソ(約10,800円)。間近で見ると一台の迫力がすごいですね。
お店の一番人気を聞いてみるとミドルクラスのスピーカーをオススメされました。『ACE』というメーカーがフィリピンでは広く認知されていると聞きました。この大きさのスピーカーであれば2,000~3,000ペソ(約4,700~7,000円)で購入できます。
大人数でビーチに遊びに行ったりホームパーティで流す際に活躍しそうです。同じ大きさでも価格重視で選ぶのであれば『P.A.L』というメーカーで1,500ペソ(約3,500円)から購入可能です。
中でもお姉さん一押しのスピーカーはこのキャリーバッグ型スピーカー!その名の通り取っ手を伸ばしてさながらキャリーバッグのようにどこにでも持って行くことができます。大きなスピーカーの迫力ある重低音をどこにいても楽しむことができます。こちら4,800ペソ(約11,300円)になります。
裏にはSDカードやUSBの挿入口があります。さらにbluetooth機能も搭載しているため手持ちのスマホやオーディオ機器と同期して楽しむことができます。イコライザーもついていて自分好みの音に設定できます。
お姉さんが気を利かせて『FANTASTIC BABY』(BIGBANG)をかけてくれました。その音はまさにFANTASTICでした。
値段は1,500~5,000ペソ(約3,500~11,700円)ほど
スピーカーの購入層
ここまでスピーカーの種類・価格を紹介してきましたが、実際にはどんな人が購入していくのでしょうか?
この謎についても相変わらずお店でお姉さんを質問攻めしてみたところ、個人的な買い手としてはやはりセブ島在住の音楽好きヨーロピアン、韓国人がよく購入していくといいます。セブにあるレストラン、ディスコ、クラブなどの施設からも需要があるとのこと。
中でも驚きだったのが、とりわけレイテ島の人々がスピーカーを好むという話。
セブ島まで3時間ほどかかるレイテ島から船でやって来てはスピーカーを積んで帰っていくという話が印象的でした。レイテ島ではバスやジプニーの中にスピーカーが置いてあることも多いのだそうです。
フィリピンの中では比較的穏やかでシャイな人柄で知られるレイテ島の人々がスピーカーを積んでいく姿を想像して、その音楽への情熱に脱帽してしまいました。
またローカルなエリアで頻繁に見かけるスピーカーは地元の修理工が中古品を改造したりしているそうです。
まとめ
「そんなかさばる買い物を…」と思うかもしれませんが、意外にお手頃でイイ音を鳴らしてくれるスピーカー。ヨーロピアンや韓国人に加え、やはり現地のフィリピン人から根強い人気を誇っていることを実感しました。
隣で真剣にスピーカーを選ぶ兄弟の眼差しには、ぼくたちの持っていない興奮が映っているように思えます。わざわざ他の島から船でスピーカーを買いにやってくるなど、フィリピンの人々のスピーカー、さらには音楽への情熱を垣間見た気がします。
撮影者:井上昂大