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フィリピンを舞台に働くことと生きることを問い続ける成瀬さんの話

一人でマニラ貧困層の家に1ヶ月も泊まり込む大胆さを持つ一方で、言葉や態度には謙虚さが溢れる。相反する性質を併せ持つ成瀬さんが、異国で1から築き上げた特定非営利活動法人ハロハロとは。成瀬さんの道のりと想い、そしてこれからについて伺いました。聞き手のフィルポータルメンバーは野中、岩辺です。

成瀬悠(なるせ はるか)さん
特定非営利活動法人ハロハロ代表。日本事務局の局長を務める現在も日本とフィリピンを行き来しながら活動している。

 

野中 柊平
徹底した情報収集と検証を持ち味とし、営業として活躍する。兼ねてより社会起業領域にも関心を抱く。

 

岩辺 智博
大学で学んだ社会学とアジア、アフリカ、スペイン放浪で培った知見を元にフィルポータルの執筆、編集を担当。

 

海に囲まれた日本。世界基準の豊かさの共有とは

海に囲まれた日本。世界基準の豊かさの共有とは

野中「はじめにお名前からお願いします。」

成瀬「特定非営利活動法人ハロハロ代表の成瀬悠(なるせ はるか)です。」

野中「まず、ハロハロという団体についてお話を伺いたいと思います。団体としてのビジョンやミッションはありますか?」

成瀬「だれもが魅力的に働き生きることのできる社会の実現ということを念頭に置いて、豊かさを共有できるライフスタイルというのを目指しています。」

野中「“誰もが魅力的に働き生きる”大きなビジョンですね。しかし大きな意義がある気がします。」

成瀬「ここでの“誰もが”が指すのは世界中の誰もがという意味で、フィリピンに限定はしていません。なぜなら、私が活動してきた中で強く感じたのは生活水準に関係なく、誰もが働きがいや生きがいを求めているということだったからです。」

野中「なるほど。その理念のもとで活動をされているということですね。」

成瀬「そうですね。その理念のもとで生計支援事業、人材育成のための教育、啓発を3本の柱として活動しています。」

野中「3つの柱について具体的に教えてください。」

成瀬「1つ目の生計支援というのは文字通り生きるための収入を向上する仕組みへの支援で、ハロハロではフェアトレード雑貨製作販売や日用消耗品製作販売、マイクロファイナンスなどを行なっています。鍵になるのが、地域の人たちが自分たちで団体や組合を作ることです。」

岩辺「なるほど。」

成瀬「2つ目の教育は、地域の未来を築く人材をその地域の中から育成しようとしており、幼児教育から義務教育支援、大学への奨学金制度などを行なっています。広い視野と多様な価値観のもと、地域社会作りの現場でリーダーシップを発揮し活躍する人々を増やしています。

近い将来、ハロハロや現地協働団体はオブザーバーとしてのみ存在し、彼ら自身が各種の生計向上事業や教育事業を運営し発展させていく担い手となるよう進めています。」

岩辺「確かに支援を終えた後に住民が、自分たちで持続していけるか否かが重要ですよね。」

成瀬「本当にそうなんですよ。3つ目の啓発活動は、日本とフィリピンに多様な価値観を持つ人を育てるプログラムです。スタディツアーなどの場で相互交流を行ったりしています。

とくに日本国内では、世界と共に生きる今を感じるのに最も身近だと思われるフェアトレードをテーマにした啓発活動にも力を入れています。」

野中「“豊かさとは何か“を考える。ということでしょうか?」

成瀬「例えば、日本で無意識にバナナ1本を食べるのにしても、現地の農家の人々の状況を伝えられれば、気づきや世界で起こっていることをもっと身近に感じられるきっかけになるのではないかと思います。

そしてそれが理念である豊かさを共有できるライフスタイルにつながっていくのではないかと考えています。」

ごちゃ混ぜを意味するハロハロという団体

ごちゃ混ぜを意味するハロハロという団体

野中「団体の運営状況の概要をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

成瀬「日本事務局は基本的に私とプロボノ6名、インターン1名、ボランティア30名程度です。マニラ事業地はフィリピン人スタッフ1名、インターン5名程度、セブ事業地はフィリピン人スタッフ1名、ボランティア3名程度です。フィリピン現地では主に留学生や日系企業の駐在スタッフの方がインターンやボランティアとして関わってくれています。

会計や企画経営、システム、デザインなどは専門性を持った社会人のプロボノの皆様が支えてくれています。スタッフとして協力するのは難しくても応援したいという方には、サポーターなどになっていただき、現在約75名の会員がおり、この2017年は100名の皆様に応援いただける団体になるよう挑戦しています。」

*プロボノとは、pro bono public(ラテン語)の略で各分野の専門性を身につけたボランティアのこと。

野中「プロボノというワードはまだ日本では聞きなれない方も多いと思いますが、これが広まっていけばいいですね。」

成瀬「最近では企業の社会貢献方針も、寄付や助成金など主に金銭的なサポートだけでなく、スキルやノウハウを提供していただける流れが出てきました。」

野中「素晴らしいですね。人員は随時募集中ですか?」

成瀬「もちろんです!今年はパーソナルスタッフも日本事務局に少なくともに1人は迎えたいと思っています。財政面の話もすると、主な資金源は寄付会費10%、助成金50%、事業収益40%となります。

ハロハロの現在の事業収益はほぼスタディツアーにより支えられていますが、映像や演劇の上映上演やフェアトレード雑貨流通販売などもあります。組織の基盤を支える会費収入と、自由用途に当てられる事業収入増に挑戦しています。」

※募集情報については本記事最下部に記載されております。

野中「ありがとうございます。団体名のハロハロにはなにか意味があるのでしょうか?」

成瀬「フィリピンで売っているハロハロというかき氷からです。ハロハロはごちゃ混ぜを意味します。昭和始め頃に移住した鹿児島出身の労働者が、鹿児島のかき氷しろくまをフィリピンで行商した際に、“ハローハロー”と言ったのをフィリピン人には“ハロハロ”という商品名に聞こえたようだという話を、私は最近セブ日本人会会長の櫻井さんから伺いました。」

岩辺「あのハロハロはしろくまからだったんですね笑。」

成瀬「はい、そうらしいです。そのエピソードは最近聞いたんですけどね笑。ごちゃ混ぜを意味するこの単語が、廃材を使った雑貨のカラフルさや、事業全体に関わる多様な人々とその背景につながると思い団体名にしました。 」

腑に落ちるという感覚と彼女を突き動かしたもの

腑に落ちるという感覚と彼女を突き動かしたもの

野中「ここからは成瀬さん個人のことをお聞きしていきます。団体を立ち上げる前はどういったことをされていましたか?」

成瀬「私は大学卒業してから印刷会社に就職して、営業アシスタントをしていました。時間に追われる中で、本当にこれがやりたかったことなのかと考えるきっかけになりましたね。」

野中「なるほど。そこが理由になって退職された。」

成瀬「はい。それで思い切ってカナダのバンクーバーに行きました。そこでもなんのために生きるのかということや働くことの意味を沢山の人に問い続けました。しかし自分の中で納得のいく答えは得られないままに帰国しました。」

野中「カナダというと、ワーキングホリデーですか?」

成瀬「そうです。ワーホリ経験者です。日本に戻って、新聞社で派遣社員として働いている時に、CMでふとアフリカの子供達の映像が流れているのを見て、いても立っても居られなくなり、本屋で社会起業家の本を手に取りました。」

野中「それが大きな転機になったんですね。なぜフィリピンだったんですか?」

成瀬「もともと私自身に“働くこと=生きること”という思いがあり、働く場であり生きる価値も置ける場を作りたいと思っていました。

そんな中、社会起業に魅かれてフィリピンのNGOを訪れ、これから生きていくうえで必要なことや未来への思いが日本よりも明確に見えたのと、地域の人たちがはっきり要望を伝えてくれるので、良きパートナーになれると思ったからです。」

マニラのゴミ山地域に1ヶ月泊まり込んだ

行動・行動・行動

野中「はじめは雑貨の販売から始められたと伺っております。」

成瀬「実は団体を立ち上げるまでに1年の間があって、50万円を資金に現地で作ってもらったものを日本で雑貨屋に卸すという個人事業をやってみたんです。

しかし、地域の人たちはフルパワーで働いて稼ぐより、家族との時間や地域の行事を大切にする時間が欲しいということや、思ったほどの収入向上もなかったことなど改善点が多く見えました。」

岩辺「日本と他国のギャップを如実に体感したんですね。」

成瀬「そこで多角的な視点やマンパワーを求めて一緒に動いてくれる人を探しました。セブ都市近郊山間部スラムや、マニラのゴミ捨て場のスラムに泊まり込んだりして、とにかく関係を構築しようとある程度の期間を確保して現地に足を運びました。強引に仲良くなって、大変な迷惑をかけましたね。それがあったからこそ、マニラもセブも今の協働団体関係を築くことができました。今も両事業地の中に泊まり込み活動させてもらってます笑。」

野中「すごい!活動を始めていく中でご自身が大変だったというよりも、現地の人が大変になるという笑。」

成瀬「私、強引なんです笑。現地の方々も最初はキョトンとしていましたね。それから1ヶ月くらい泊まり込んで、コミュニケーションも取れませんし、“いつ帰るんだ?こいつは”みたいになっていました。」

トライアンドエラーを繰り返しながら掴んだ自分なりの答え

トライアンドエラーを繰り返しながら掴んだ自分なりの答え

岩辺「お話に沿えるかはわかりませんが、私も旅や大学の学域で新しいフィールドに足を踏み入れることに、文化的にもう一度少年時代をやり直す感覚を覚えます。

新天地や未知に分け入っていくことは、どうしても誰かの手を借りることなくして成し得ないので、一番必要なことって意外と“仕方ない。こいつを助けてやるか”って思ってもらえるかどうかだと思うんです。」

成瀬「本当にそのとおりです。皆さんの助けを借りて、全て試しながら学びました。」

野中「追い求めてきた生きることと働くことがイコールになった今、やりがいはどこにありますか?」

成瀬「現地の人のモチベーションが上がったり、団体や組合として一つの形になったところを間近でみられたときはとても嬉しく思います。ハロハロがいてくれたからあきらめず続けられた、と言ってくれた人々がいました。

私自身その地域の人々の思いと活動をうまくサポートしきれないことを悔しく思っていた時だったので、さらに一緒にがんばりたいと思いました。それがやりがいにもなっています。」

岩辺「誰かの喜びを共有すること、自分の手の届く範囲で物事が完結するシンプルさがやりがいにつながっているんですね。」

野中「最後に日本で悩んでいる人たちに何かありますか?」

成瀬「私そう言うのはちょっと…すごい難しいです笑。あえて言うならこんな私でもできたので皆さんにもできるかなって思ってもらえたら嬉しいです。こんな方法もあるんだとか、ちょっとでも面白みのあるエッセンスになれたらいいですね。

いろんな職場を経験してみて、働くことと生きることが繋がりあっていると、時間をもったいないなんて思うことはないのかもしれません。私は今、そんなことを感じながら日々を過ごしてます。」

野中「ありがとうございました。お話を伺っていて、二番煎じではないモノ・コトを作り上げるには、ある程度考え抜いた先で不透明の中に飛び込んでいく勇気が重要だということ。そして机上の空論ではなく、飛び込んだ中で直面する問題や失敗に対処していく本当の意味でのインテリジェンスが必要だということを感じました。」

編集後記

編集後記
セブやマニラの貧困地域に一人で入っていく大胆さ。そんな行動力もさることながら、常に「これでいいのだろうか」と自問自答しながら働くこと、そして生きることをリンクさせようと励む姿に繊細な感性と人生のテーマを垣間見た気がします。

思ってしまったことには逆らえない、行動が先に出るタイプ。決して器用とは言えないリーダー。それでも、不確かな中を一緒に進み続けられる成瀬さんだったからこそフィリピンや日本の人々の信頼を獲得し、相手を動かしてこられたのではないでしょうか。

自分の中に潜在している正しさを追及し続けるその姿勢に成瀬さんがリーダーたる所以を確認させられる、そんなインタビューでした。

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インタビューと社会派コラムを担当するライターです。いろんな場所に行って、たくさんの人と話して、その声を代弁できる情報屋でありたいと思っています。個人ブログ(さぐりさぐり、めぐりめぐり)で紀行文・コラムも書いてます。 Phil Portal全員のメンバー紹介ページはこちら

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